STILLDAM SAGA inc.+SHOPS+BARS///BAR CASK
BAR CASK

BAR CASK

JR佐賀駅から県庁に向かって伸びるメインストリートの中ほど、白山商店街近くの路地を入ったところにあるBAR CASK。
板張りのカントリーハウスのような外観は、おしゃれな雑貨屋みたいで女性好みの佇まい。

この場所にお店を構えて8年目を迎えたバーテンダーの中村和子さんにお話を伺いました。

Q. バーテンダーになろうと思ったきっかけは?

父が酒蔵で働いていたので、小さい頃からお酒は身近な存在でしたし、興味もありました。それと接客業が好きなこともあります。
もともとは保育士をしていたんですが、ある日友人に連れられて初めてバーに行った時、薄暗い照明の中でとっても綺麗な色のカクテルが出てきた瞬間『すごい!』と衝撃を受けたんです。 それから思い切って1年で保育士を辞めてバーテンダーを目指しました。
2000年4月から1店舗目で10年、他店で3年勤務後、2013年6月に独立してこの店を始めて8年目になります。

BAR CASK

Q. ご苦労もあったのでは?

今でこそ女性は珍しくなくなってきましたが、私が始めた頃はまだ世間に周知されていなかったので、女性がカクテルなんか作れるのか⁈などと言われたり、お酒を提供する場ということもあって嫌な想いはたくさんしました。
だから保育士からバーテンダーになろうと決めた時、親は絶対反対するだろうと思って事後報告でした。
最初は実家から通っていましたが、朝方帰宅して昼間寝てるという状態を理解してもらえず、周囲の目も気にしながらでしたので、居づらかったです。 それを機に一人暮らしを始めました。今では親も応援してくれています。

Q. 2019年「トークン・ビターズ カクテルコンテスト」のファイナリストに選ばれましたが、トークン・ビターズとは?

カナダのアルバータ州で採れる天然素材を使った、少々苦味のあるオーガニックのフレーバーエッセンスです。化学物質や保存料は一切使用せず、有機栽培された材料を使っていて、1本1本手作りなんです。 味に変化を付けたりするのに使うお酒の一種で、通常は仕上げに1〜2滴使ったりするんですが、これは数十滴使ってもバランスよく仕上がります。
コンテストの時は、出品するための1杯のレシピを考えるのに1〜2ヶ月かけて作りました。
まずはカナダの歴史を調べるところから始めて、気候や文化などいろいろ調べ上げ、ひとつの物語を作って、その物語をカクテルにするという感じなんです。
そのたった1杯を作り出すために、ものすごいエネルギーと想いがこもっているので、飲む側も雑にしてはいけないな、と感じました。
コンテストの様子はこちら >>2019年「トークン・ビターズ カクテルコンテスト」6人のファイナリストが創作する“ビターズカクテル”の競演

Q. 楠乃花蒸溜所で作られたオリジナルの梅のジンについて教えてください。

BAR CASK 7周年記念ボトル 梅ジン

最初、私が抱いているイメージだけをお伝えしたんです。まずは佐賀らしさ、そして女性らしさ、他には無いようなハーブをふんだんに使ったもの。オーダーしたのはその3点だけでした。
そしたら楠乃花蒸溜所の和田さんから梅の提案があったんです。ちょうど6月で梅の収穫時期だったこともありましたが、梅をキーボタニカルにしたジンはまだ出てなくて珍しかったので、私も面白いかなと思いました。
構想自体は春くらいからあったんですが、新型コロナの影響で少し遅れたので、6月くらいから本格的になって出来上がったのが8月末です。
詳細はこちら >> BAR CASK 7周年記念ボトル 梅ジン

Q. 出来上がりの感想は?

すごくいいと思います。ロックがお勧めです。度数は45度あるんですが、普通のジンと違って優しい気がします。まろやか。たぶん梅がそうさせているんだと思いますが、香りもよくてカクテルにも使いやすいので気に入ってます。
お客様にも大変好評をいただいてます。

Q. 女性が好きそうなデザインですね?

中村和子さん

このブルーが好きなので、絶対この色を使おうと決めていました。それに合わせて、CASK(樽)なので茶色の文字で、名刺をデザインしてくれたデザイナーさんと相談してシンプルにまとめました。
お酒のデザインって、どうしても男性好みのものが多いので、せっかく1から作るなら女性ならではのものを作りたい、と思ってボトルも白で丸みがある形を選びました。

Q. どんな風に味わってほしいですか?

手軽に飲めるジンなので、普通にロックで味わってほしい。ストレートもいいですが、軽く冷やしたり水を加えることでさらに香りが広がるので、ゆっくり味わってほしいです。 寒い時期は温かい紅茶にちょっと入れてもすごく美味しいと思いますよ。
ちゃんとしたカクテルにしてもすごく映える味なので、おうちでもお店でもいろんな楽しみ方ができるお酒です。

中村和子さん

Q. 今後の展開は?

ショコラティエとのコラボを考えていて、チョコレートとカクテルのコースを出したいと計画しています。チョコレート3種とそれぞれに合わせたカクテル3種みたいなペアリングをやって行こうかと。
また、最近ではノンアルコールのジンやウィスキーを使ったモクテルという新しいジャンルが登場していますので、それにも力を入れていきたいと思っています。

Q. バーテンダーという職業について

味わいとか、色とか、デコレーションとか、ハーブティーを使うとか、女性の視点ならではの組合せってあると思いますし、人それぞれ独自の感性を持っていて、それを表現する仕事だと思います。
オリジナルカクテルを作り出すバーテンダーはみんな日々組み合わせを考えていると思いますよ。完全に職人の世界で、知れば知るほど奥が深いです。 だから、常に感受性を豊かにする努力をしています。味はもちろん、デコレーションやグラスまで総合的にコーディネートするアーティスティックな仕事です。

いちおしカクテル

★いちおしカクテル

今回作っていただいたのは、擦った梨をたっぷり使ったカクテル。
梨の爽やかな甘さにジンがほのかに香って、お酒というより、まるで梨のシャーベットみたいな食感も楽しめる1杯でした。
BAR CASK オリジナルジンを使ったカクテルは1杯1,400円。
カクテルで季節を感じてもらいたいので、主に佐賀産や九州産の旬のフルーツにこだわってカクテルをお出ししているそうです。
通常のジンを使ったカクテルは800円〜。

※価格は税込。2020年10月現在。

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